ヨナグニウマの歴史と現在の頭数
与那国馬は、古くから農耕・農作物や薪の運搬・乗用などで活躍してきました。
飼い主は「ウブガイ」(※面繋の沖縄方言)と呼ばれる木製の頭絡を自作したり、馬の耳に「耳印」と呼ばれる切込みを入れ、自分の馬を区別しました。
また、琉球王国の時代から太平洋戦争中までは、沖縄伝統の馬乗り競技「琉球競馬」にも用いられ、与那国馬は沖縄の文化と発展に大きく貢献してきました。
現在ヨナグニウマの頭数は島外含めて130頭ほどと言われていますが、一時期は59頭にまで減少しています。
理由はシンプル、必要とされなくなったからです。
なぜ必要とされなくなったのか?
それは戦時中の国策として「軍馬増強」が掲げられ、「馬の大型化」が重要視された時代があったからです。
1901年の「馬匹去勢法」、1939年の「種馬統制法」により、日本の馬は体格の大きい洋種馬と積極的に交配を行うようになりました。種牡馬及び将来の種牡馬候補以外の牡馬は、全て去勢することが定められてしまったのです。
現在ヨナグニウマは、主に観光用に利用されていますが、人なつこい性格を活かして動物介在療法にも利用されています。
与那国島で見たヨナグニウマ
与那国馬も含めた日本在来馬は、基本的に穏やかで大人しい性格をしており、人懐っこいと言われています。
私も初めて与那国島を訪れた時、写真を撮っていると子馬が膝の上に寝転がってきた経験もあり、馴れさえすれば仲良くなれると思いました。
しかし、ヨナグニウマと長く付き合うと、違う一面も理解することができます。
それは我慢強い=頑固にも繋がるということです。
どんな馬でもコミュニケーションを取るために調教は必要ですが、この調教の方向性を間違えると「我慢強い」ではなく「頑固さ」が強く出て、我儘な性格が出てきてしまうのです。
実際に、馬のことを良く知らない人に与那国馬が渡った時に調教を見学させて貰ったら、噛み癖が出て、我儘になり、手を焼いている姿を見たことがあります。
逆を言えば「我慢強さ」の部分をしっかり引き出してあげれば、子どもが一人で扱うこともできる、優秀な相棒にもなれるんです。
守るだけでなく、活用が必要!
この企画で協力して頂いている「ヨナグニウマ保護活用協会」の名前の通り、ヨナグニウマのためには、保護だけではなく「活用」が大事なことだと思っています。
保護活動では展示して動物園のように観て貰うだけです。
それを「活用」まで発展させると、人と一緒に働くことで、馬にしかできないコトや馬だからこそ得られるモノを提供できるようになります。
フランスではワイン畑を作るのに馬耕を用いる場所もあり、これは土に空気が入り土中の微生物の働き方や植物の育ち方が違うという結果があります。
またホースセラピーという活用方法は、リハビリや障がい者の方の治療に用いられており、身体機能の向上や豊かな感情を育てるので健康な子供たちにも良い効果が期待されます。
ヨナグニウマは、このように社会への良い影響をもたらす可能性を、まだまだ秘めているのです。
人間がこの可能性を引き出し、人と馬の共存ある世界を作ることができたら。。。
より良い社会を作ることができると思います。
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